福島県視察(3日目)

2月3日 福島県いわき市 かんぽの宿「いわき」会議室
○原発労働者の現状
 (双葉郡大熊町在住の坂上さんより話を伺う。現在はいわき市に避難中。)
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 原発事故前は、第3次会社として原発施設の塗装の仕事を請け負っていた。
 常時2000人から3000人の作業員が仕事をしており、その多くは第3次から第5次の下請け会社の者。
 原発関連の仕事は多種多様にあり、同じ場所で仕事をしていても横のつながり連帯感は余りない。
 作業員たちは、事故発生から10カ月経った今でも、1日当たり約3千人の作業員が顔全体を覆う特殊なマスクをつけ、厳しい環境の中で放射線に被曝しながら復旧作業を続けている。
 現在、復旧作業の前線基地として国内最大級のサッカー練習場だったJヴィレッジが使われている。
 そこは、1997年に日本サッカー協会、福島県、東京電力等が出資して開設された日本サッカー界初のナショナルトレーニングセンターだった。
 今、天然芝だったサッカー場には、芝生の上に鉄板がはられ、車の検査場や作業で使われた使い捨ての防護服やマスク等の仮置き場になっている。   
 作業員たちはここで防護服に着替え、特殊なマスクをし、専用のバスに分乗し約20数km離れた第一原発に向かい復旧作業に従事する。
 作業が終わればまた専用バスに乗ってこの前線基地であるJヴィレッジに戻ってくる。
 防護服を脱いだ後、ゲートモニターを通って放射線量をチェックを受ける。
 身に着けていた防護服やマスクは使い捨てで放射性廃棄物としてコンテナへ。
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 今後の復旧作業や原子炉の廃炉作業に30年以上かかると言われ、既に約1万9千人が復旧作業にあたっているという。
 厚生労働省は今後新たに作業する人の被曝線量の上限を事故前の100ミリシーベルトに戻したが、熟練作業員が被曝線量の限度を超えるため作業ができなくなり、人材が不足することが指摘されている。
 しかし、それよりも作業員の健康管理体制の強化が必要だ。
 また、新聞報道によると暴力団の関与による違法派遣の実態も明らかになっている。
 危険を伴う作業がこれから何十年も続くことを考えれば、国と東京電力は、各下請け会社に労基法を遵守させるとともに国の責任において監視をし、その仕事に見合う待遇と健康を保障する策を講ずるべきである。