微力どころではない! ピースメッセンジャー・高校生平和大使

          

 5日(土)第23代高校生平和大使派遣代表選考会(主催:平和活動支援センター)が都久志会館で開かれ、私も福岡県平和フォーラムの一員として選考に携わりました。当日は第22代平和大使の岡さん(福大1年生)も駆けつけ、これまでの活動を振り返り、7名の高校生に励ましのエールを送っていただきました。

 高校生平和大使を国連に派遣する運動が始まったのは、1998年5月、核拡散防止条約(NPT)に非加盟のインド、パキスタンが核実験を強行したことから、被爆地ヒロシマ、ナガサキの声を世界に伝えようと、「ながさき平和大集会」に参加する50団体の平和運動が契機となっています。以来22年間、のべ250人の高校生が署名を携え国連欧州本部を訪問し、核廃絶の声を届け、ノーベル平和賞にもノミネートされています。

 核兵器保有国をアメリカやロシア、イギリス、フランス、中国の五国に限定するとともに、これら保有国に核軍縮義務を課すNPTは今年50年の節目を迎えていますが、米ロの軍拡競争が再燃し、「核なき世界」の気運は後退しています。

 一方、2017年に採択された核兵器禁止条約の批准国は、今月南太平洋のフィジーが加わり、38か国となり、発効に必要な50か国に近づいています。唯一の戦争被爆国日本は未だ批准しておらず、その責務は大です。今年の8月9日長崎市長が読み上げる平和宣言では、日本も核兵器禁止条約に批准すべきと要望も盛り込まれる予定です。

 世界的に核兵器禁止の動きが高まる中、高校生平和大使は国連から「ヒロシマ・ナガサキピースメッセンジャー」と高い評価と期待感を示されています。今年は全国約500人の高校生が応募しました。

 選考は、応募の動機や平和についての考え方等に関しての小論文とスピーチで行われました。「知覧特攻平和館や長崎原爆資料館を見学し、戦争の悲惨さを同世代に伝えなければならないと思った」、「ベトナムでの植林ボランティアに参加したことで、平和を守るには多文化共生の視点が必要」「『武器よりも教育を、ミサイルよりも鉛筆を』の運動に感銘を受けた」、「長崎出身の母親の助言で昨年も応募し、全校集会で自分の思いを発表する機会を得た、聞くばかりではなく自分から発信すことが大事だ」、「怖いと、思うだけではだめだ、行動しなくては」「戦争の根底には差別がある、なくすことが大事」等々。一人一人のスピーチを聞きながら、大人はなにをやってるんだと、叱られているような気持ちになりました。

平和大使のスローガンは「微力だけど、無力ではない」。だが、高校生の思いは微力どころかでっかい。今年も16都道府県で選考会が開かれ20~25人の平和大使が選ばれます。コロナ禍で、核兵器廃絶平和行進は中止となりましたが、原水禁世界大会はオンラインで開催されます。核兵器廃絶をキノコ雲の上からの視点ではなく、その下にいる市民の視点で想像し無くすための努力が、今求められています。

 *写真は昨年、国連欧州本部を訪れた高校生平和大使並びに今年の選考会に参加した福岡の高校生。